青海原
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“青海原”という言葉は
『萬葉歌』中にたった一例。
青海原風波靡き往くさ来さ障むことなく船は早けむ
(あをうなばら かぜなみなびき ゆくさくさ つつむことなく ふねははやけむ)
(巻二十4514・大伴家持)
[青海原は風波が凪いで、行きも帰りも何の差し障りもなく、船はぐんぐんと進むことでしょう]
古代において祝詞にはよく出る“青海原”ですが
日本文学における初出はこの歌ではないでしょうか。
渤海国に派遣される大使への餞の歌ですから、
“予祝”といってあらかじめ良きことを
言葉にして発するのは大切な習いでした。
祝詞の言葉を歌に読み込むことで、
その言葉の力はさらに強く響くのでは、
と思います。
家持らしい、心尽くしの歌に感じます。
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青い楮紙を用い
上部を広く開けて水平線を
想起する構成にしました。
かなを書く人には、
中央あたりから始まり、右に返って終わる
“逆勝手”という紙面構成は知られていますが、
それを紙そのものを切り離して逆勝手にするという
“初の試み”を盛り込みました。
物理的逆勝手、とでも言いましょうか・・・
文学的初出である、家持の“青海原”に敬意を払っての試みです。
結果、紙面に波を分けて進む船の道のような
効果が生まれたのではと思います。
印は煌めく水面を意識して
印泥の赤ではなく、本金の控えめな輝きを。
胡粉の施されたネパールの紙を
台紙に取り合わせています。
シルクロードを思わせる唐草模様と相まって、
海外へ大使として行く、という内容にも
響く取り合わせではないかと思います。
表具には、本紙のブルーを際立たせるために
淡いグレーをセレクト。
筋分けに淡いブルーを入れて
トーンを合わせました。
軸先には深いブルーの陶器。
海原へと漕ぎ出す景色を作りたいと
願った作品です。
【瀬戸内ブルーⅤ】
2026年9月19日(土)~10月8日(木)
11:00~18:00 (休み9月28日)
※桐箱付き
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